フラット35と銀行ローンの固定金利はどっちが安い?
近年は非常に低金利のため固定で借り入れを考えている方も多いと思います。
固定金利といえばフラット35ですが銀行の固定金利商品とどう違うのでしょうか。
※今回の記事の金利や商品情報は2017年1月18日現在のものです。
4000万円の築10年の中古戸建(土地100㎡、建物80㎡、3LDK)を固定金利のローンで購入を検討している人がいるとします。
ローンを組むにあたりフラット35か銀行ローンの固定金利の商品のどちらがトータルの支払が少ないのでしょうか?
銀行ローンは固定が30年で最低金利の三井住友信託銀行(1%)、しかし三井住友信託銀行はすごく審査が厳しいのでメガバンクで最低の三菱東京UFJ銀行(35年で1.32%)も候補に入れて比較することにしてみました。
パターン①4000万円借りる場合
ローンの種類 毎月支払 諸費用 総返済額 トータルでの支払額
フラット 118055円 約330万円 約4958万円 約5288万円
三井住友信託 128655円 約296万円 約4631万円 約4927万円
三菱 118977円 約303万円 約4997万円 約5300万円
三井住友信託銀行は30年借り入れのためかなり安いことがわかりました。
※諸費用は印紙1万円、登記費用50万円、固定資産税清算金10万円、仲介手数料136万円、火災保険18万円で計算しています。フラット35は事務手数料2.16%、適合証明発行費用6万円で計算しています。諸費用について詳しく知りたい方はこちら↓
不動産を買うときにかかるお金って? 戸建編 - 不動産マガジン
ここで注意していただきたいのはフラット35には団体信用生命保険がついていないことです。4000万円の借り入れで35年団体信用生命保険を付けた場合総額は約230万円(年間借入1000万円あたり35800円で計算)!トータルでの返済額は5518万円になってしまいます。さらにフラット35は物件価格の9割以上(今回の場合3600万円)借りる場合、残りの1割部分は金利2.55%の変動金利の商品になります。では自己資金からローンの頭金に400万円充当したらどうなるでしょうか?
パターン②物件価格の1割(400万円)を頭金にした場合
ローンの種類 毎月支払 諸費用 総返済額 トータルでの支払額
フラット 103648円 約321万円 約4353万円 約4674万円
三井住友信託 115790円 約289万円 約4168万円 約4457万円
三菱 107079円 約294万円 約4497万円 約4791万円
※フラット35に団体信用生命保険を付けた場合のトータルでの支払額は4904万円
どうしてもフラット35は団体信用生命保険が別なので加入すると重くなってしまいます。しかし、自己資金がある程度あり、既にかなり手厚い保障のある生命保険に加入されている方や団体信用生命保険に加入できない方は候補として考えるにあたって充分価値があると思います。
固定金利で一番良い条件はやはり比較すると三井住友信託銀行が圧倒的です。しかし、金利が低い分かなり審査が厳しく上場企業や公務員でなければ通りにくいのが現実なので通らなかった場合も含めて検討する必要があるでしょう。
フラット35の経費を少しでも安くするには?
事務手数料のウエイトが大きいのでここを安くできるところを探しましょう。
現時点では楽天銀行のフラット35が最安のようです。事務手数料が借入額の1.08%と多くの金融機関が取り扱う2.16%の半額という数字です。今回の場合だと78万円が39万円になるのでだいぶお得です。
しかし楽天銀行は特定の担当者がいないため不動産会社がローンについて間に入って案内などをすることができず担当者がいる場合に比べて結構な手間がかかってしまいます。他のネット銀行の場合もそうですが楽天銀行を使う場合は契約から決済まで時間に余裕のある方におすすめです。
是非固定金利で住宅ローンをご検討されている方は参考にしてみてください。
フラット35ってどんな人におすすめなの?
フラット35って名前はよく聞きますがなんでしょうか?
今回はフラット35はこんな人におすすめしたいという記事でございます。
※今回の記事ではわかりにくくなるような要素を省いてご紹介するのでより詳細に知りたいという方は下記HPをご参照ください。また、記事全体が「フラット35であればローンを組みやすいですよ」という内容になっていますが、毎月のお支払いなどをしっかりとお考えの上ご検討ください。
早速ですがフラット35はこんな人におすすめというのをまとめてみました。
1.メガバンクで希望の借入額に届かなかった方
審査金利が違うため銀行ローンよりフラット35方がより多く借りることができます。
仮に年収500万円で他に借り入れがない方が35年ローンを組む場合、メガバンクであれば4000万円くらいが限度額となりますがフラット35の場合は5000万円くらいまで借入額が伸びます。
【参考】
2.勤続年数などが原因で審査が通らなかった方
勤続年数はローン審査において重要な要素の一つで、1年未満の場合や試用期間の場合は取扱不可となる銀行が多いです(ステップアップの転職などを除いてですが)。
フラット35には勤続年数は審査においては見られないので転職して間もないが不動産を購入したい方にもおすすめです。
3.買い替えの方
現在の住まいで住宅ローンを組んでいるが、新たに住宅ローンを組んで買い替えをし、その後売却をしたいという方向けです。既存のローンは新たに借りるローンの返済比率に組み込まれてしまうため、多くの銀行で希望の額を借入することは難しいかもしれません(一部地銀では買替に強い商品もあります)。
フラット35では売却するという条件を付けて新たに借りるローンの返済比率は見ないという制度があるため是非ご活用ください。
4.団体信用生命保険に入れない方
銀行ローンでは団体信用生命保険に加入することが条件になります。
しかし団体信用生命保険に加入するには健康状態や病歴などを申告する必要があり、場合によってはそれでローンが組めないということもあります。
フラット35は団体信用生命保険への加入義務はないため、上記のような方でもローンを組むことができます。
フラット35は全期間固定で1%くらいで借りれる超低金利のため、月々のお支払いなどが予算内であればご検討してみる価値はあると思いますがいかがでしょうか。
次回は銀行ローンの固定金利とフラット35で借りた場合の比較をしてみたいと思います。
今月の金利 2017年1月
今月の金利情報(2017年1月6日現在)
住宅ローンの比較ツールとしてお使いいただければ
幸いでございます。
固定金利が上昇を続けています。しかし全体の傾向では先月に比べると上がり幅は減少しました。
※変動・固定それぞれの店頭金利、▲は優遇の最大幅、
→は最大優遇後の適用金利
必ず金利優遇を最大受けられるわけではございませんので
実行される金利を確かめるには事前審査を通すことをお勧めします
【三井住友信託銀行】
変動 2.475% ▲1.875% →0.600%
固定30年 3.80% ▲2.8% →1% 前月比△0.05%
変動 2.475% ▲1.9% →0.575%
固定 35年 1.24% 前月比△0.1%
【三井住友銀行】
変動 2.475% ▲1.85 →0.625%
固定 35年 1.69% 前月比△0.11%
【三菱東京UFJ】
変動 2.475% ▲1.85 →0.625%
固定 35年 1.32% 前月比△0.1%
【みずほ銀行】
変動 2.475% ▲1.85 →0.625%
固定 35年 1.55% 前月比△0.04%
【りそな銀行】
変動 2.475% ▲1.85 →0.625%
固定 35年 1.45% 前月比△0.05%
【フラット35(アルヒ)】
20年以内 1.02% 前月比△0.02%
21年以上 1.12% 前月比△0.02%
【ローンに関する情報】
三菱東京UFJ銀行では変動金利でも当初3年間は低金利で固定で組めます。
個人的な意見ですがこれからものすごく景気が良くなり、金利も大幅に上昇するということは想定しにくいので変動金利でもあまりリスクはないと思います。
しかし直近の傾向では上昇しそうな感じもなきにしもあらずなので変動金利で少しでも金利上昇リスクを抑えたいという方にお勧めです。
当初3年間最大優遇で0.6%、その後は再度固定特約型か変動か選択になりますが変動の場合も最大優遇を受けることができます。
詳しくはこちら
建売は1月2月に買うとお得??
これからのシーズンは建売をお得に購入できるチャンスです!
なぜお得に買えるのか
3月の決算期に少しでも売り上げ伸ばしたいために通常では考えられないような値下げをしてくれることがあるのが1月2月の時期です。
どういう物件が安くなるか
3月中に引き渡しができる物件です。既に完成済みの物件ほど大きく値下げをしてくれるチャンスがあります。
※この時期でも未完成の物件・とても立地が良く誰から見てもいい物件などは値下げが難しいケースもあります。
どれくらい安くなるのか
個人的な経験則ですが通常は端数程度が値引きは多いです(3080万円なら80万円の値引き等)。しかしこの時期は300万円などのディスカウントをするケースもあったりします。
良い物件を安く買うには?
申し込みの際に指値(値引きの交渉)をするのが一般的ですが、すでに値下げをした後の物件では難しい場合もあります。良い物件は人によって違うのですが、大体良い物件で安くなるものは表示されている価格を変更する前に「この金額からいくら引けます」という事前情報を不動産業者から得た方が買うケースが多いです。
情報を早くゲットするには?
その地域のシェアの高い不動産会社に情報提供を依頼しましょう。正直建売住宅はどこの不動産会社から買っても大きくは変わらないのでより良い条件で買える会社を選びましょう。
会社の選び方は下記をご参照ください。
realestatemagazine.hatenablog.com
特に購入する時期は決まっていないけどお得に建売住宅を購入したい方や、いろいろと事情が変わりどうしてもこの時期に買わなければいけなくなった方が少しでも安く建売住宅をご購入いただけると幸いです。
マンションは新耐震基準かどうかだけで見分けてはいけない
マンションの耐震については新耐震基準かどうかで判断される方が多いですが実際は少し違う部分があるのでマンション選びの参考にしてみてください。
※この記事はマンションの耐震性を保証するものではありません。本当に心配な場合は建築士の方などに耐震診断を行うことをおすすめします。
日本は地震が多い国なので地震の度に建築基準法は改正され、現在の新耐震基準と呼ばれる耐震基準に至っております。
新耐震基準とは?
1981年の6月に行われた建築基準法の改定で建物の倒壊を防ぐだけでなく、中の人の安全も確保することが求められるようになりました。
しかし、実際に旧耐震基準と新耐震基準で地震に対してどんな被害があったのかを見てみなければ新耐震基準が本当に安心なのかはわかりません。
そこで下記のグラフを見てください。青が新耐震基準のマンション、赤が1972年~1981年のマンション、黄色が1971年以前のマンションです。
出典元:鉄筋コンクリート造建物の地震被害|わが家の耐震 −RC造編−
もうお分かりかと思いますが1972年以降のマンションは新耐震基準のマンションと地震の被害がほとんど同じです。新耐震基準のマンションでも倒壊または崩壊を起こしているマンションもあります。それはどういうことでしょうか。
耐震基準の変遷
1968年に起きた十勝沖地震の被害を受けて1971年に建築基準法が改訂されました。内容的には簡単に言うとコンクリートの中に入れる鉄筋の強度と量を定めて地震に強くなりました。
さらに1978年に起きた宮城沖地震の被害を受けて1981年に建築基準法が改訂され、現在の建築基準法になりました。地震の被害でいうと1972年以降のマンションであれば新耐震基準のマンションとさほど変わらないことが分かります。
年表にすると下記の通りです。
鉄筋コンクリート造建物の地震被害|わが家の耐震 -RC造編-
1950 建築基準法公布 許容応力度設計 水平震度:K=0.2 1968 十勝沖地震(M7.9) RC短柱のせん断破壊 1971 建築基準法施行令の改正 日本建築学会RC規準の改定 せん断補強筋間隔の狭化 最小せん断補強筋量の採用 設計用せん断力の割り増し 曲げ降伏先行の概念の導入 1971-77 建設省総合技術開発プロジェクト 1977 新耐震設計法の提案 1978 宮城県沖地震(M7.4) たれ壁・腰壁付き柱のせん断破壊 非構造壁のせん断破壊 耐震壁の偏在した建築物の崩壊 1981 建築基準法施行令の改正 (新耐震設計法の採用) 一次設計と二次設計 じん性に応じた保有水平耐力 剛性率・偏心率 変形制限 |
出典元:鉄筋コンクリート造建物の地震被害|わが家の耐震 −RC造編−
実際にどんなマンションが地震の被害を受けやすいか
地震の被害を受けやすいマンションの特徴は3つです。
・ピロティ(ほとんど柱だけで支えている階の駐車場)があるマンション
・壁の少ない店舗部分があるマンション
・壁が偏在しているマンション
戸建でもそうですが壁は耐震の肝なので少ない階があると当然その部分は弱くなります。
被害の画像は鉄筋コンクリート造建物の地震被害|わが家の耐震 −RC造編−をご参照ください。
上の2つは見た目で分かりますが最後の壁が偏在しているマンションは見た目で分からないので、パンフレットなどで各階の図面を見てみるとよいでしょう。
くどいようですが今回の記事は鉄筋コンクリート造建物の地震被害|わが家の耐震 −RC造編−の内容をまとめたものです。
新耐震基準かどうかでマンションを選ばれる方は多いと思いますが、23区などで立地の良いマンションは旧耐震の物件もとても多いです。耐震基準だけで見極めるのでなく、壁の少ない階がないか構造をしっかり見極めることも大事ではないでしょうか。
是非マンションを選ぶ際のご参考にしていただければ幸いでございます。
私道って何に気を付ければいいの?
広告を見て「あっ!いい戸建(土地)だなっ」って思って物件概要を見ていると「前面道路は私道か~」とお悩みのあなたや「私道って公道と何が違うかよくわからないけど漠然とやめたほうがいい」と思っているあなたに私道で本当に気を付けるべきポイントをご紹介します。
公道と私道の違い
公道は国や市などが所有しているのに対して私道は個人や法人が所有しています。
私道の気を付けるポイント1 持ち分があるか
私道で持ち分がない場合は将来通行や掘削を行う際に道路の所有者の許可を得なければならない場合があります。許可が得られなければライフラインの引き込み工事などができなくなってしまいそれでは困ってしまいます。
私道の気を付けるポイント2 持ち分がない場合は承諾書の有無を確認
私道の持ち分がなくても「通行掘削の承諾書」があれば持ち分を持っていなくてもその指導を通行・ライフラインの引き込み工事を行うための掘削をできるので大丈夫です。
所有者が変わると効力を失うような承諾書では意味がないため、内容に所有者が変わっても内容を引き継ぐ旨の文言が入っているかだけは確認しておきましょう。
私道の気を付けるポイント3 物を置いている人がいないか
私道だからといって車を停めたりものが置かれているといざというとき緊急車両の往来ができないなど大変なことになります。かなりレアケースですがこういったことが気になった場合は変わった人が住んでいる可能性もあるので物件を紹介した業者や売主に現状を確認したほうが良いでしょう。
道路について調べると種類がたくさんありよくわかりづらいですが、私道においては上記の3つが気を付けるポイントではないでしょうか。
土地・戸建ての場合でお探しの方は私道の物件に出会う機会も多いでしょう。私道に関して正しい認識と気を付けるポイントがわかっていれば何も問題はありません。
上記のポイントを押さえたうえでさらに細かい点(持ち分がない場合承諾書を取る特約を付けて契約をするなど)は仲介業者もよくわかっていると思います。
私道が原因で購入や問合わせを躊躇している方の判断材料としてお役に立てば幸いです。
色々とお得な耐震基準適合証明書って何?
今回は取得できると色々とお得な耐震基準適合証明書についてです。
耐震基準適合証明書があるとできること
できることは主にこの3つです。
1.住宅ローン控除で築年数要件を満たしていない場合でも控除を受けられる
2.築年数のせいで登記費用の軽減を受けられない場合でも軽減を受けられる
3.築年数のせいで住宅取得のための贈与の非課税制度を受けられない場合でも軽減を受けられる
一言でいうと「取得できれば古い物件でも税金を安くしますよ」ということです。
木造の場合は築20年以内、マンションなどの場合は築25年以上の場合はほかの要件を満たしていれば住宅ローン控除及び登記費用の軽減を受けることができます。
住宅ローン控除は10年間で最大400万円、登記費用は使えると10万円前後安くなるケースが多いです。住宅取得のための贈与の非課税制度の場合も700万円まで非課税で贈与ができるので(平成28年12月6日時点、他にも要件があるので詳細はhttps://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4508.htmをご参照ください。) 使わない手はないですよね。
ただしこういったことは残念ながら不動産仲介業者でもよくわかっていない場合もあり、こちらから聞かないと教えてくれなかったり調べてくれなかったりする営業がいるのも事実です。
そこで今回は耐震基準適合証明書という存在を認知していただき、よりお得に不動産を購入していただければという趣旨で書いていきます。
誰が発行するのか
建築士が発行します。
物件の要件は決まっていますが、建築士によって発行の可否で見解が分かれることもあります。
いくらくらいかかるのか
大体5万円くらいが多いです。
いつまでに必要か
引き渡しまでに必要です。
引き渡し後にローン控除を受けようとして間に合わないのは大変もったいないので取得の可否は必ず引き渡しまでに確認しておきましょう。
その他注意点
発行時は売主の名義でなければいけません。
ローン控除・登記費用の軽減・贈与はそれぞれに原本が原則必要です。1度で何通証明書を発行してもらえるのかよく確認しておきましょう。
このあたりは慎重に不動産業者・税理士・税務署などに確認をしておかないと軽減を受けられない場合もあるので十分注意してください。
築年数要件を満たしていないため住宅ローン控除や非課税贈与を諦めている方のお役に立てばうれしいです。
住宅ローン控除については下記記事をご参考にしてください。
realestatemagazine.hatenablog.com